読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

yurikago_kara_hakaba_made

毒にも薬にもなりません

アモバン向精神薬登録でルネスタはどうなるのか?

おはようございます、久しぶりの更新となってしまいました。

月日が経つのは速いもので、もう9月です。

 

さてさて、近々、アモバン(ゾピクロン)とデパスエチゾラム)が麻薬及び向精神薬取締法上の向精神薬に登録されるようです。今回はそれについての話題となります。

 

まず、向精神薬に登録されることで何が変わるのでしょうか。大きく変わるのは、投与上限の設定と個人輸入の禁止になります。この辺りはこの記事の趣旨ではないですし、解説が数多くあると考えられるので、ここでは触れません。

 

今私が最も興味があるのは、ルネスタ向精神薬指定はどうなるのか、というところに尽きます。ただ、本題に入る前に、簡単な解説から入りたいと思います。

まず、基礎化学には「エナンチオマー」という概念があります。エナンチオマーとは、別名を鏡像異性体とも言い、互いに鏡写しになっているような構造の物質同士の関係を示す言葉です。ちょっと言葉での説明が難しいので、図を書きました。

f:id:kdyla:20160901101930j:plain

こんな物質があるのかどうか知りませんが、この物質同士の関係が鏡写しになっているのがわかると思います。この二つの間の関係をエナンチオマーと言います。この構造をそれぞれ左がR体、右がS体と言います。(本当はエナンチオマーになる物質の条件やメソ体などの話もあるのですが、ここでは触れないので割愛します)

次に、ラセミ体という概念があります。ラセミ体というのは、エナンチオマー同士が1対1で混ざり合った物質のことをいいます。上の図で言えば、右の構造式と左の構造式が1対1で混ざり合った物質を想像していただければよいかと思います。

雑な説明で申し訳ないのですが、ここまで理解していただいたところで、本題に入ろうと思います。果たしてルネスタはどうなるのか。

向精神薬指定されたアモバンという物質は、ゾピクロンという物質のエナンチオマー同士のラセミ体となります。そしてもうお気づきかもしれません。ルネスタはエスゾピクロン、つまりゾピクロンのS体の構造物なのです。つまり、ルネスタアモバンの構造はそっくりなのです。もう少しわかりやすく説明すると、アモバンの中からS体だけを取り除いたものがルネスタです。

ゾピクロンのS体には睡眠導入を促進する効果が強く、R体は苦み成分が強く、睡眠導入を促進する効果が低いと言われています。つまり、乱暴な言い方をすれば、混ざり物が入っているのがアモバン、純粋に必要な物質だけを取り出したのがルネスタ、ということになります。

さてさて、もうみなさんお気づきになられたかと思います。アモバン向精神薬登録するならルネスタ向精神薬登録するべきではないかということに。しかしまだ、ルネスタ向精神薬登録については曖昧なままです。ここで、厚労省が発行した資料を参照してみたいと思います。

 

f:id:kdyla:20160901104040p:plain

何やら複雑な構造式がありますね。これはエスゾピクロンの構造式です。そして及び鏡像異性体、と書かれています。これは当然R-ゾピクロンのことだと考えられます。

ちなみにひとつ言い忘れていましたが、ラセミ体とS体及びR体は鏡像異性体ではありません。

さて、疑問が生じますね。この資料によると、エスゾピクロンが向精神薬登録されているような印象を受けます。しかし、下の化学名を見ると、しっかりとRS体、つまりラセミ体であることが明示されています。おまけに注を読むと、「向精神薬として指定するものには上記物質の塩類及びこれらを含有するものを含む」との表記があります。この表記を見れば、ゾピクロンが指定されるのは容易に理解できますし、エスゾピクロンも指定されると読めます。

しかし、現状告示されているのはゾピクロン、つまりはアモバンだけです。これはどういったことなのでしょうか。続報が待たれるところです。

 

※間違い等あればこっそり教えてください。こっそり直します。