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毒にも薬にもなりません

自己嫌悪すら嫌な僕らへ yeti let you notice

おはようございます。

 

久々のバンドレビュー、行っきまーす!

 

yeti let you notice

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Gt/Vo : Masaru Takeda (左から2番目)

Gt : Yuuki Akiyoshi (左から3番目)

Ba : Masato Saiga (たぶん一番左)

Dr : Hayao (たぶん一番右)

写真は公式からお借りしました。誰がどの配置か書いてないので動画見て調べたのですが、BaとDrは自信ないです。

 

yeti let you noticeというバンド

yeti let you noticeは、東京を中心として活動するバンドである。編成は先ほど述べたようにGt/Vo, Gt, Ba, Drという普通の構成。RO69JACK 2013 入賞アーティストである。

『どうしようもなく弱く汚い。そんな自分が嫌いで仕方ない。自己嫌悪すら嫌になったらここにおいで。多分僕たちのほうがもっと醜いよ。』

yeti let you noticeのキャッチコピーである。自己嫌悪すら嫌になるという感覚、読者様ならわかっていただけるんじゃないだろうかと思う。自己嫌悪は自己愛の裏返し。そんな歪んだ自己愛を持っている自分が嫌になる。それを、僕たちのほうが醜いとバッサリ斬っている。そんな音楽だ。

 

 

yeti let you noticeとの出会い

私がこのバンドを知ったのは、『Montesquieu & U』という無料配布コンピレーションに収録されていたから。このコンピは、限りなく透明な果実/Plot Scraps/yeti let you noticeが参加していて、Plot Scrapsのファンである私は当然配布開始日に取りに行った。(ちなみに田舎なので配布開始日にはショップに並んでおらず、2~3日後に再び取りに行ったのを覚えている)そのコンピに、「みんなの歌」という曲で参加している。そもそもそれまでは、このバンドのことなど名前すら知らないバンドであり、それ以外の2バンドはそこそこ名前も売れている印象だった。そんな完全にアウトオブ眼中なバンドだったのだが。

コンピを聴いた。やられたと思った。このコンピの中で一番いい。

曲調はピアノバラード。しかし、一筋縄ではいかない。まずAメロからブレイクを伴った5/4+4/4の複合拍子。「お前らみたいなクズが生きてるせいでクソったれみたいな人生を生きている」というなかなかストレートな歌い出し。この時点でなかなかの衝撃を与えていった。バンドというものはインパクトが大事である。インパクトがないとリスナーを取り込むのは難しい。そういう意味では完全に成功している。ただし、これだけならばただの世間を恨むだけの楽曲だ。しかしもちろんそれでは終わらない。

子供のころにやった遊びみたいに

白線だけを選んで渡っていく

落ちても特には何もなかったけれど 

今はそれが何より怖い気がする

無意味に横断歩道の白線だけを選んで渡った子供時代の情景。落ちても何もないが、それこそが今は恐怖だという感覚。この楽曲は「みんなの歌」というタイトルでありながら、決して世間一般の人間のための曲ではない。そのギャップに惹かれた。

サウンド面も結構面白い。2番Aメロからの掛け合いはなかなか拍を取りづらく、さらに一番この曲で驚いたのが、上記動画で2:21~のドラムパートである。スティックをカッカッカッカッてやるやつ(あれの正式名称なんて言うんですかね)が入り、此処から激しくなるのかと思えばそうではなく、淡々と曲が続いていく。しかし不思議なことに、このスティック同士を叩くやつはここにあって自然だという感覚にさせる。なぜかはわからない。ただ、耳に心地よいのだ。

そんなこんなで、yeti let you noticeは私の中に大きなインパクトを与えていった。

 

いらない感情

そんなyeti let you noticeが初めてバンドとして発表したアルバムが「いらない感情」というアルバムである。(ただし、現在は廃盤になってしまっている。買おうと思っていたのだが、会場orバンド公式の通販でしか買えないというので二の足を踏んでいたらこうなってしまった。)そちらから、リードトラック「いらない感情」を紹介したい。

soundcloud.com

こちらは先ほど紹介した曲と違い、割とアップテンポの楽曲である。しかしアップテンポな曲でありながら、どこか歌声は優しさを感じさせる。しかし、優しさと同時に痛みも強く感じさせる。いらない感情、それはこの歌そのものだ。「妬みもいらない」「怒りもいらない」と語るその感情、そのものがいらない感情なのではないだろうか。もういっそ殺して、消してと歌うこの曲はどこまでも痛く、そしてどこまでも不必要で、だからこそ響く。

 

こもりうた

1stAlbum「いらない感情」を発売してから約2年弱、1st ep「こもりうた」を発売。3曲収録で、やはり全国流通はしていない。会場、公式通販、diskunionのみでの流通となっている。その中から、タイトル曲「こもりうた」を紹介したい。

(ちなみにこの音源はおそらくデモ版で、CD収録のものとは違う。バスドラ・スネアの音が大きすぎるのが少々難点。)

基本的には繰り返しのアルペジオからなるシンプルな楽曲だが、この曲はとにかく展開がすごい。シンプルな構成でありながら、最後にメインフレーズをオクターブ上げることで一気に盛り上げていく。また、このタイトルは「子守歌」と「(引き)こもりうた」のダブルミーニングであり、かつてGt/VoのTakeda氏が引きこもり時代に書いたとされている。そのため、随所に引きこもりを感じさせるフレーズが挿入されている。

パソコンを立ち上げて広がる色の世界は僕だけを裏切る

もはや引きこもりとは切っても切れない関係にあるパソコンやネットワーク。 インターネットにも裏切られる。そんなワンフレーズだ。経験がある方もおられるのではないだろうか。風刺的でもある。また、歌い出しの「水溶性の窓」というのは円滑な人間関係の比喩ではないだろうか。窓というのは仕切りでありながら、部屋の中と外を繋いでいる。それが水溶性であるということは、簡単に溶けてしまうということであり、つまりは人間同士の円滑なコミュニケーションを表しているのではないかと推測される。そしてそれを誰も作れない、という。この人は本当に引きこもりだったのだ、と感じさせるだけのリアルがそこにはあった。

 

おわりに

yeti let you noticeというバンドについて曲を紹介しながら自分なりに語ってみたつもりなのだが、いかがだろうか。ぶっちゃけバンドレビューというより曲のレビューになってしまった感が拭えないが。曲を通してyeti let you noticeの世界に浸っていただければ幸いである。

 

最後に。

今年はライブ行きたい。そしてぜひ全国流通をしてほしい。埋めておくにはもったいない。そんなバンドだ。